ニュースで「政令で定める」「省令を改正する」といった表現を目にすることがありますが、 政令と省令の違いを正確に説明できる人は意外と多くありません。
どちらも国のルールを定めるものですが、決める主体や役割が異なります。 ここでは、法律との関係も含めて分かりやすく整理します。
政令とは?
政令(せいれい)とは、内閣が制定する命令のことです。 法律の内容を実際に運用するために、細かいルールを定めます。
法律そのものは国会で制定されますが、すべての細部まで法律に書くことはできません。 そのため、「具体的な内容は政令で定める」と法律に委ねられるケースが多くあります。
- 制定主体:内閣
- 目的:法律を実施するための詳細ルール
- 位置づけ:法律の下位
例えば、制度の対象範囲や手続きの流れ、基準の細かな数値などは政令で定められます。
省令とは?
省令(しょうれい)とは、各省庁の大臣が制定する命令です。 政令をさらに具体化し、現場レベルでの運用ルールを定めます。
厚生労働省であれば厚生労働大臣、国土交通省であれば国土交通大臣が省令を定めます。
- 制定主体:各省庁の大臣
- 目的:実務レベルでの詳細な運用
- 位置づけ:法律・政令の下位
申請書の様式、提出期限、具体的な手続き方法などは、省令で定められることが多いです。
法律・政令・省令の関係
国のルールは、次のような上下関係で整理できます。
- 法律(国会が制定)
- 政令(内閣が制定)
- 省令(各省庁が制定)
下位のルールは、上位のルールに反する内容を定めることはできません。 そのため、省令は必ず法律や政令に基づいて作られます。
ニュースでよく使われる理由
ニュースでは「政令改正」「省令改正」という表現が頻繁に登場します。 これは、法律を改正しなくても運用を変更できるためです。
国会で法律を改正するには時間がかかりますが、 政令や省令であれば比較的スピーディーに制度を調整できます。
コラム|「法律が変わらなくてもルールが変わる」理由
「法律は変わっていないのに、実際の運用が変わった」と感じる場面があります。 その多くは、政令や省令が改正されたことによるものです。
法律は骨組み、政令と省令は肉付けと考えるとイメージしやすく、 社会状況の変化に柔軟に対応するために、この仕組みが使われています。
まとめ
- 政令は内閣が定める法律の実施ルール
- 省令は各省庁が定める具体的な運用ルール
- 法律 → 政令 → 省令の順で位置づけられる
ニュースでこの違いを意識すると、制度変更の背景がより理解しやすくなります。
























