ニュースで「法案が可決された」「予算案が否決された」と聞くと、なんとなく“通った/通らなかった”のイメージはあるものの、実際に何が決まったのかは分かりにくいことがあります。この記事では、可決/否決の意味と、国会や議会でどう使われるのか、採決との違いも含めて分かりやすく整理します。
可決/否決とは(結論)
可決(かけつ)は、議案(法案・予算案・決議案など)が採決で賛成多数となり「成立に向けて前に進む」ことを指します。
否決(ひけつ)は、採決で反対多数となり「その案は通らない」ことを指します。
- 可決:賛成多数で「通った」
- 否決:反対多数で「通らなかった」
「採決」と「可決/否決」の関係
採決(さいけつ)は、賛成・反対を数えて議会として意思決定する“手続き(行為)”です。
その採決の結果として出てくる言葉が、可決(賛成多数)/否決(反対多数)です。
- 採決:決め方(投票・起立・記名など)
- 可決/否決:採決の結果(通る/通らない)
つまり、ニュースで「採決により可決」と言うときは、“採決した結果、可決だった”という意味になります。
可決=すぐ法律成立、ではない
注意したいのは、「可決=最終決定」とは限らないことです。可決は“その段階”を通過した、という意味で使われます。
たとえば国会では、法案が衆議院で可決された後に、参議院で審議・採決が行われます。ニュースで「衆院で可決」と出た場合、まだ参院が残っている可能性があります。
- 委員会で可決 → 本会議へ
- 衆議院で可決 → 参議院へ
- 参議院で可決 → 成立へ(ケースによる)
否決されたらどうなる?(廃案との違い)
否決は、その段階で「その案は通らない」という意思決定です。多くの場合、否決された案はそのまま終わりますが、ニュースでは「廃案」という言葉も見かけます。
- 否決:採決の結果、反対多数だった
- 廃案:審議未了・会期末・撤回などで、手続き上「成立できなくなった」
つまり、否決は“投票して負けた”イメージ、廃案は“手続き上、終わった”イメージです。
ニュースで「可決/否決」を見たときのチェックポイント
- どの場で可決/否決?(委員会/本会議、衆院/参院、地方議会など)
- 対象は何?(法案、予算案、決議案、条例案 など)
- 次の段階は?(参院へ、成立、再修正、再提出 など)
- 賛否の構図は?(与党・野党、会派、連立など)
この4点だけ押さえると、「結局、何がどこまで決まったニュースなのか」がかなり読みやすくなります。
コラム:なぜ「可決」がニュースになるの?
可決は「通った」という事実だけでなく、政治の力関係や世論の反映が見えやすい場面だからです。たとえば、与党の議席数が多いと可決しやすく、逆に賛否が割れると、修正や合意形成の動きが注目されます。
また、予算案や重要法案は「可決=生活への影響が近づく」ことも多く、税制・社会保障・教育・防衛など、私たちの暮らしに直結しやすいテーマほどニュース価値が上がります。
まとめ
- 可決:採決で賛成多数になり、案が通った
- 否決:採決で反対多数になり、案が通らなかった
- 採決は手続き、可決/否決はその結果
- 「どこで可決?」を見れば、ニュースの意味が読み解ける
次に「採決」「可決」「否決」が出てきたら、“どの場で、何が、どこまで決まった?”を意識して読むと理解が一気に深まります。
























